Greeting ご挨拶

理事長 五十嵐 良典

 当財団は、昭和57年2月に内視鏡医学の確立、発展の歴史を築いた田坂定孝博士を中心として、内視鏡医学の研究遂行を奨励、助成することで、世界の医学に貢献し、併せて人類の福祉向上に寄与することを目的として設立されました。平成22年11月に公益法人制度改革に基づく公益法人の認定を受け、『公益財団法人内視鏡医学研究振興財団』として新たな一歩を踏み出しました。
 今や内視鏡医学は、初期の消化管内視鏡診断だけでなく、消化器、呼吸器、泌尿器、耳鼻咽喉科、産婦人科、整形外科、循環器、頭頚科、脳神経外科などに多種多様に用いられております。特に近年では、内視鏡による診断学から、内視鏡を応用した治療、さらに外科手術へと大きく進歩し、治療内視鏡・内視鏡外科として大きく発展しております。内視鏡医学は人々の生命に直接関連した医学であり、患者様のQOLの改善を通じて、社会への大きな貢献を行っております。
 当財団の活動は、内視鏡に関連した研究に対し幅広く助成することが大きな特徴です。その主たる事業である「研究助成」では令和3年度までに約1400件の助成を行ってまいりました。
 また、本邦の内視鏡医学の水準は、これまで世界のトップレベルにあって、各国に対し多大な啓蒙的・指導的役割を果たしてまいりました。当財団はその一端を担い、本邦の内視鏡医学に関心を寄せ、研究のため来日される海外研究医の方にも助成を行ってまいりました。これらの研究医は帰国後に夫々の国において指導的な役割を果たしており、世界の内視鏡医学の発展に大きく貢献しております。
 また、本邦の若手研究医の国際的な活躍を支援すべく海外での学会報告に対して渡航費の援助を行い、海外短期留学への助成も行っております。残念ながら令和2年2月からのコロナ禍により、現時点においては、海外からの研修生の受け入れや若手医師の国際的活動や海外への短期留学支援は停止した状態になっております。コロナワクチン接種などの普及および感染者数の減少により、徐々に海外渡航が再開されきました。海外からの研修生の受け入れや国際的活動および短期留学も再開する予定です。
 医学会を見わたせば、内視鏡を冠した学会は大きく増加し延べ6万5千人を超える医学者が内視鏡医学の研究・発展に取り組んでおります。
 当財団では昭和57年の設立以来、助成件数で約4,600件、助成金額で18億円を超える事業を行ってまいりました。内視鏡医学の進歩に伴い、当財団の存在意義はこれからも益々大きくなるものと考えております。
 関係各位には、当財団の助成事業活動をご理解いただくとともに、今後ともより一層のご支援、ご協力を賜わりますようお願い申し上げまして、私のご挨拶とさせていただきます。

令和4年6月
理事長:五十嵐 良典