公益財団法人 内視鏡医学研究振興財団

福島県保健衛生協会 内視鏡センター長
小原 勝敏先生

この度、本財団の顕彰受賞の栄誉に浴し、身に余る光栄に存じますとともに、推薦いただきました先生並びに田尻久雄財団理事長始め選考に当たられた先生方に心より御礼申し上げます。
私は、福島県立医大第二内科（消化器内科・リウマチ膠原病内科）に30年間、内視鏡診療部に10年間、そして消化器内視鏡先端医療支援講座に5年間の計45年間大学に勤務してきましたが、消化器内視鏡学に興味を持ち、ライフワークとしたのが、消化管静脈瘤の病態解明と内視鏡診断・治療の確立でした。私が入局した頃の食道静脈瘤出血に対する治療法はバルーンタンポナーデ法のみであり、多くの患者さんを亡くしました。
辛い経験を契機に、静脈瘤出血に対する安全かつ効果的な内視鏡治療を確立するために、数多くの研究を進めてきましたが、今では内視鏡治療によって食道・胃静脈瘤患者や異所性静脈瘤患者を救命できるようになりました。
今回の受賞に至ったのは、恩師の故鈴木博昭先生や高瀬靖広先生始め、全国の内科、外科、放射線科、病理などの門脈圧亢進症専門の先生方のご指導と、福島県立医大varix groupの先生方のご協力のお陰であり、先生方には心から感謝を申し上げます。今後も微力ではありますが、若手医師の育成に貢献できれば幸いと思っております。

社会医療法人 仁愛会 浦添総合病院 消化器センター 顧問
沖縄消化器内視鏡会 会長
金城 福則先生

この度は、歴史ある本財団の顕彰受賞の栄に浴し、大変光栄に存じておりますとともに、田尻久雄財団理事長をはじめ関係の皆様に心より御礼申し上げます。私は米国統治下にあった沖縄から留学生として昭和42年に弘前大学に入学しました。学生の臨床実習の頃から恩師松永藤雄先生の主宰する講座では、田島　強先生と棟方昭博先生を中心とした大腸内視鏡および周辺機器の開発が行われておりました。昭和48年の卒業後も沖縄に戻らずに、消化器内視鏡グループに属し、消化管疾患・胆膵の内視鏡検査全般に携わり、研鑽して参りました。特に、大腸腫瘍や炎症性腸疾患の診断と治療への内視鏡的役割に関心を持ち、拡大内視鏡への期待と希望で実験的大腸腫瘍の内視鏡・実体顕微鏡的研究で学位を頂きました。内視鏡的逆行性小腸造影や大腸内圧測定の開発・研究にも関わりました。昭和56年の琉球大学医学部臨床系講座の開講を機会に沖縄に戻りました。弘前大学での8年間の臨床経験や研究が礎となり、多くの素晴らしい指導者や仲間にも恵まれ、沖縄県の消化器疾患診療の向上に多少なりとも貢献できたのであれば嬉しく思います。

聖マリアンナ医科大学 客員教授
宮澤内科・呼吸器クリニック 院長
宮澤 輝臣先生

この度、令和３年度内視鏡医学研究振興財団の顕彰受賞の栄を賜りまして、大変光栄に存じますとともに、選考に当たられた関係各位には厚く御礼申し上げます。
1980年にはフランス、マルセイユのセントマルガリータ病院のデューモン先生は硬性気管支鏡によるヤグレーザー治療を確立されました。さらに1987年にシリコン気管支ステントを開発され呼吸器インターベンションの父と呼ばれるようになりました。
1991年本邦での1例目は私たちが池田茂人先生の発明された気管支ファイバースコープを硬性気管支鏡と併用し、ヤグレーザー焼灼後にデューモン気管支ステントを留置し、劇的な効果を得ました。
以後パイオニアである池田茂人先生、デューモン先生から学び、その気管支内視鏡治療の考えや実技を実践し、世界、本邦に広めたことに対して顕彰されたことと考えております。今後、さらに気管支内視鏡治療が一層発展・普及することを期待します。

社会医療法人 福西会 理事長・院長
山下 裕一 先生

令和3年度の顕彰受賞の報告を頂き、心より感謝致しています。そして、財団理事長の田尻久雄先生をはじめ関係の皆様方に心より御礼を申し上げます。
振り返りますと、私が初めて内視鏡に接したのは駆け出しの都立病院勤務時代でした。体内を観察する診療に心躍る想いを抱いたことが、その後の内視鏡に係る契機となりました。当時は暗幕の箱の中で内視鏡先端のカメラにフイルムを脱着する時代でしたが、その後の内視鏡装置の進歩は目覚ましく、消化器外科と内視鏡治療の癒合を夢見る始まりとなりました。1987年頃に門脈本幹内へ腫瘍塞栓が進展した肝細胞癌症例の手術治療のために門脈内を観察し塞栓腫瘍を除去する門脈内視鏡治療の動物実験と臨床応用を行い、米国での世界内視鏡外科学会で発表し、運よく最優秀演題賞を頂きました。
　同じ頃、欧州の学会で腹腔鏡下胆嚢摘出術の情報に接し、2年余りかけ動物実験から臨床応用へと漕ぎ着けました。そして、本邦において多くの外科医と共にこの低侵襲性の手技を発展させ、内視鏡外科手術の安全な普及に微力ながら係ることができました。
今回の顕彰受賞は、多くの指導的先生方のおかげであると改めて感じています。ここにお礼を申し上げますと共に今後も内視鏡分野の発展に微力ながら貢献してゆきたいと思います。